Old Capital Evenings — Kamakura
丘の上の洋館に、灯りがひとつ点る。鎌倉、建物が語る記念日
百年の時間が積もった場所で過ごす、秋の一夜
Autumn Anniversary Guide/鎌倉
鎌倉が記念日の舞台として選ばれる理由は、建物にある。別荘地として栄えた時代の洋館、古民家、そして料亭。これらが現役の飲食店として残り、なおかつ庭を伴っているという条件は、都心では得がたいものである。交際クラブで出会ったお相手と、少し足を延ばして過ごす記念日にも向いている。
加えて鎌倉は都心から一時間ほどでたどり着ける。日帰りで非日常に触れられるという距離感は、多忙な人ほど価値を感じやすい。秋であれば、庭の木々が色づき始める時期と重なる。
今回は、鎌倉三大洋館の一つを用いたガストロノミー、広大な庭園を持つ料亭、そして日本家屋で中国料理を供する一軒を取り上げる。いずれも建物そのものが体験の核になっている。
※本記事は、建物や庭とともに食事を愉しみたい大人のための読み物です。掲載情報は記事作成時点で確認できたものであり、営業日・営業時間・個室の条件は変動する場合があります。ご予約前に各店へご確認ください。
この記事で押さえておきたいこと
- 鎌倉の店は建物自体に来歴があり、空間が記憶の手がかりになる
- 庭を伴う店では、席の位置によって見える景色が変わるため事前相談が有効である
- 定休日が火曜・水曜など平日に設定されている店があり、日程調整が必要になる
- 駅から徒歩圏の店と車が前提の店が混在するため、移動手段を先に決めておく
- 秋は庭の色づきと献立の切り替わりが重なり、同じ店でも印象が変わる
- こんな方へ
- 都心から離れて非日常に触れたい方、建物や庭ごと記憶に残したい方
- 最も価値ある点
- 建物の来歴が、そのまま体験の骨格になるという鎌倉ならではの構造
- 見どころ
- 築100年を超える洋館と1500坪の敷地、広大な庭園の料亭、日本家屋で味わう中国料理
- クラブ利用の利点
- Club Grudetでは、移動手段や滞在時間まで含めた一日の設計をご相談いただけます
古我邸|鎌倉三大洋館の一つ、1500坪のガストロノミー
鎌倉文学館、旧華頂宮邸とともに鎌倉三大洋館に数えられる古我邸。長く非公開だった建物を改修し、2015年にレストランとして開いた。1500坪の敷地と築100年を超える洋館で、モダンスパニッシュを供する。
非公開だった百年の建物
古我邸は、実業家であり日本人カーレーサーの草分けとして知られる古我信生が住まいとしたことから、その名で呼ばれてきた。鎌倉文学館、旧華頂宮邸とともに鎌倉三大洋館に数えられる建物で、長い間非公開だったが、築100年を迎えたのを機に改修され、2015年にレストランとして開いている。
料理はモダンスパニッシュに根ざした構成で、敷地内の自家菜園で育てた野菜をはじめ、納得できる食材を厳選しているという。四季の花々が咲く1500坪の敷地と、100年を超える洋館。この規模感が、都心のレストランでは得られない時間の流れを生んでいる。
鎌倉駅西口から徒歩5分ほど、住宅街の奥にある丘の上に建つ。個室のある店として案内されているため、記念日で静かに過ごしたい場合は予約時に相談したい。なお定休日は火曜・水曜とされ、オンライン予約は1グループ6名までという案内がある。厳しいドレスコードはないが、カジュアルすぎない服装が推奨されている。
| エリア | 神奈川・鎌倉(扇ガ谷/鎌倉駅西口方面) |
|---|---|
| アクセス | JR・江ノ島電鉄 鎌倉駅西口より徒歩約5分 |
| 営業時間 | 要確認(昼・夜とも営業。オープンエアーカフェは日没まで。時期により変動) |
| 愉しみ方 | 明るいうちに到着して庭を眺め、日が落ちてからコースに移る流れが心地よい |
| 留意点 | 火曜・水曜が定休との案内あり。オンライン予約は6名まで。カジュアルすぎない服装で |
らい亭|広大な庭園に佇む重厚な和風建築
鎌倉随一とも称される広大な庭園のなかに佇む重厚な和風建築。もとは鉄道事業家・土木技術者として知られる菅原恒覧が営んだ別荘で、当初は清香園と称した。会席料理や蕎麦を供する。
別荘だった建物と庭の一体感
らい亭は、もともと清香園と称し、鉄道事業家であり土木技術者としても知られる菅原恒覧が営んだ別荘であった。鎌倉市の景観重要建築物として記録されており、八畳・十畳・十畳の三室からなる和室が当初の姿をよく留めている。とりわけ東南の十畳は床と棚と付書院を備えた、最も格の高い主室とされる。
この建物の特徴は、細部に至るまで徹底した古物趣味が貫かれていることにある。家具や照明器具もすべて古道具から選ばれており、さまざまな由来を持つものが高密度に集積して、独特の空間を作り上げている。庭園の広さと合わせて、都市の飲食店とはまったく異なる時間が流れている。
料理は会席料理と蕎麦が中心となる。つまり、庭を眺めながらゆっくりと会席を進め、最後に蕎麦で締めるという構成が取れる。記念日にこの一軒を選ぶ場合、明るいうちに到着して庭を歩き、それから席に着くという流れが向くだろう。
| エリア | 神奈川・鎌倉(北鎌倉方面の広大な庭園内) |
|---|---|
| アクセス | 鎌倉駅・北鎌倉駅からバスまたは車での移動が現実的 |
| 営業時間 | 要確認(昼を中心に営業。時期により変動) |
| 愉しみ方 | 明るいうちに庭園を歩いてから席に着き、会席を蕎麦で締める |
| 留意点 | 公共交通からの距離があるため移動手段を先に決めておく。座敷が中心 |
イチリン ハナレ|鎌倉の日本家屋で味わう中国料理
築地の人気店「東京チャイニーズ 一凛」の店主が鎌倉に開いた一軒。風情ある日本家屋のなかで、分解と再構築を経た唯一無二の中国料理を供する。季節のおまかせコースが軸となる。
日本家屋と中国料理という組み合わせ
イチリン ハナレは、築地の人気店である東京チャイニーズ 一凛の店主が鎌倉に開いた一軒である。鎌倉の住宅街に佇む風情ある日本家屋を用い、掲げられたモダンなデザインの暖簾が目を引く。日本家屋で中国料理を味わうという組み合わせは、それだけで記憶に残りやすい。
店側は、この古き良き場所で料理の分解と再構築が生まれ、客との時間と空間が創り出されると述べている。日本の四季、大地、大海原を最大限に活かし、時間と空間から生まれる食卓を届けるという姿勢である。つまり、中国料理という枠を借りながら、素材は日本の季節に軸足を置いている。
料理は季節のおまかせコースが中心となる。名物として知られる品もあり、一部は取り寄せにも対応しているという。記念日にこの店を選ぶ意味は、意外性にある。和食でもフレンチでもない選択が、その夜を印象づける場合がある。
| エリア | 神奈川・鎌倉(住宅街の日本家屋) |
|---|---|
| アクセス | 鎌倉駅からの徒歩またはタクシー移動が現実的 |
| 営業時間 | 要確認(昼・夜とも営業の案内あり。土日祝の昼はディナーメニューとなる案内あり) |
| 愉しみ方 | 季節のおまかせコースを選び、日本家屋の設えとの対比を楽しむ |
| 留意点 | サービス料が別途加算される案内あり。席数が限られるため早めの予約が確実 |
MEMBERS VOICE
50代 医療関係/編集部が複数の会員の感想をもとに構成した代表的な声です
- 第一印象●●●●●
- 相性●●●●●
- 満足度●●●●●
都心から一時間ほどで、これほど空気の違う場所に行けるとは思っていませんでした。建物と庭がとにかく印象的で、食事の内容以上に、あの窓から見えた景色をよく覚えています。日帰りで非日常を味わえるというのは、忙しい身にはありがたい選択肢でした。
まとめ:鎌倉では、建物が体験の骨格になる
鎌倉の飲食店を選ぶとき、料理の系統以上に効いてくるのが建物の来歴である。三大洋館の一つを用いたガストロノミー、別荘だった和風建築の料亭、そして日本家屋を用いた中国料理。今回の三軒は、いずれも建物が体験の骨格を作っている。
ただし実務的な注意もある。定休日が平日に設定されている店や、公共交通からの距離がある店が混在するため、移動手段と日程は先に決めておきたい。庭の色づきが始まる秋は、明るいうちに到着して庭を歩き、それから席に着くという流れが最も贅沢に感じられる。
よくある質問
- 鎌倉の店は駅から歩けますか。
- 店によります。古我邸は鎌倉駅西口から徒歩5分ほどですが、らい亭のように公共交通からの距離がある店もあります。装いを整えて出かける場合は、移動手段を先に決めておくことをおすすめします。
- 鎌倉のレストランにドレスコードはありますか。
- 厳格な規定は少ないものの、古我邸では厳しいドレスコードはないとしつつ、特別なひとときに相応しいカジュアルすぎない服装が案内されています。洋館や料亭を訪れる場合は、それに見合う装いが無難です。
- 定休日はどのように確認すればよいですか。
- 古我邸は火曜・水曜が定休との案内があり、祝休日にあたる場合は月曜が振替となるとされています。平日に定休を設ける店が多いため、日程を組む前に各店の営業日を確認してください。
- 日帰りでも十分楽しめますか。
- 都心から一時間ほどの距離のため、日帰りでも成立します。明るいうちに到着して庭や街を歩き、夕方から食事に移る流れであれば、移動を含めても余裕のある一日になります。